排水・工場排水の水質分析について

水質汚濁防止法や下水道法では、工場や事業場から排出される下水、排水や、さらに地下に浸透する汚水を規制しています。
生活排水対策を推進することによって、水質汚濁の防止を図ることを目的としており、基準違反に対しては罰則などが定められています。
さらに、都道府県の条例で、上乗せ基準(区域を指定して一律基準よりも厳しい許容限度とする基準)や横出し基準(一律基準以外の項目について規制)も定められています。
上乗せ基準については管轄の自治体にお問い合わせ下さい。
排水・工場排水の水質検査実績
1983年創業以来、総合環境分析では排水分析、工場排水分析について水質基準への適合状況を確認するための分析や、プラントからの処理排水の分析など長年の実績があります。
水質にかかわるトラブルなどがあった場合、ご相談いただければ、即分析を実施し、迅速に結果を報告することも可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
排水・工場排水の分析事例・実績
水質汚濁防止法による排水基準
※環境省「一般排水基準」(排水基準を定める省令 別表第1・別表第2)に基づく(2026年9月時点)水質汚濁防止法は、水環境の保全を図るための法律で、特に産業排水に基づく基準を規定しています。法令では、有害物質の放流量制限や浄化処理の義務を企業に課し、水質の改善と保全を促進しています。
排水基準は、人の健康に被害を与えるおそれのある物質(健康項目と呼ばれる)と、生活環境に被害を与えるおそれのある物質(生活環境項目と呼ばれる)の2つに分類されます。
【関係法令】水質汚濁防止法 / 一般排水基準(環境省)
【関連記事】水質汚濁防止法と一律排水基準について
2024年1月25日に公布された「水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令」により、一律排水基準が次のとおり改正され、いずれも施行済みです。下表は改正後の基準値を掲載しています。
① 六価クロム化合物 改正前:0.5mg/L、改正後:0.2mg/L(施行:令和6年4月1日)
※電気めっき業には、令和9年3月31日まで暫定排水基準0.5mg/Lが適用されます。
② 大腸菌群数 改正前:大腸菌群数 日間平均3,000個/cm³、改正後:大腸菌数 日間平均800CFU/mL(施行:令和7年4月1日)
(参考)https://www.env.go.jp/press/press_02672.html
また、ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、アンモニア・アンモニウム化合物・亜硝酸化合物及び硝酸化合物については、一部の業種に暫定排水基準が設けられています。令和7年7月1日施行の改正で、7業種について適用期間が令和10年9月30日まで延長されました。
(参考)https://www.env.go.jp/press/press_04960.html
健康項目
| 有害物質の種類 | 許容限度 |
| カドミウム及びその化合物 | 0.03mg/L |
| シアン化合物 | 1mg/L |
| 有機燐化合物 (パラチオン、メチル パラチオン、メチルジメトン及び EPNに限る。) |
1mg/L |
| 鉛及びその化合物 | 0.1mg/L |
| 六価クロム化合物 | 0.2mg/L |
| 砒素及びその化合物 | 0.1mg/L |
| 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 | 0.005mg/L |
| アルキル水銀化合物 | 検出されないこと |
| ポリ塩化ビフェニル | 0.003mg/L |
| トリクロロエチレン | 0.1mg/L |
| テトラクロロエチレン | 0.1mg/L |
| ジクロロメタン | 0.2mg/L |
| 四塩化炭素 | 0.02mg/L |
| 1,2-ジクロロエタン | 0.04mg/L |
| 1,1-ジクロロエチレン | 1mg/L |
| シス-1,2-ジクロロエチレン | 0.4mg/L |
| 1,1,1-トリクロロエタン | 3mg/L |
| 1,1,2-トリクロロエタン | 0.06mg/L |
| 1,3-ジクロロプロペン | 0.02mg/L |
| チウラム | 0.06mg/L |
| シマジン | 0.03mg/L |
| チオベンカルブ | 0.2mg/L |
| ベンゼン | 0.1mg/L |
| セレン及びその化合物 | 0.1mg/L |
| ほう素及びその化合物 | 海域以外 10mg/L 海域 230mg/L |
| ふっ素及びその化合物 | 海域以外 8mg/L 海域 15mg/L |
| アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物 | (*)100mg/L |
| 1,4-ジオキサン | 0.5mg/L |
(*)・・・アンモニア性窒素に0.4を乗じたもの、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量。
【備考】
「検出されないこと。」とは、第2条の規定に基づき環境大臣が定める方法により排出水の汚染状態を検定した場合において、その結果が当該検定方法の定量限界を下回ることをいう。
砒(ひ)素及びその化合物についての排水基準は、水質汚濁防止法施行令及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和49年政令第363号)の施行の際現にゆう出している温泉(温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定するものをいう。
以下同じ。)を利用する旅館業に属する事業場に係る排出水については、当分の間、適用しない。
生活環境項目
| 項目 | 許容限度 |
| 水素イオン濃度(pH) | 海域以外 5.8-8.6 海域 5.0-9.0 |
| 生物化学的酸素要求量(BOD) | 160mg/L (日間平均 120mg/L) |
| 化学的酸素要求量(COD) | 160mg/L (日間平均 120mg/L) |
| 浮遊物質量(SS) | 200mg/L (日間平均 150mg/L) |
| ノルマルヘキサン抽出物質含有量 (鉱油類含有量) |
5mg/L |
| ノルマルヘキサン抽出物質含有量 (動植物油脂類含有量) |
30mg/L |
| フェノール類含有量 | 5mg/L |
| 銅含有量 | 3mg/L |
| 亜鉛含有量 | 2mg/L |
| 溶解性鉄含有量 | 10mg/L |
| 溶解性マンガン含有量 | 10mg/L |
| クロム含有量 | 2mg/L |
| 大腸菌数 | 日間平均 800CFU/mL |
| 窒素含有量 | 120mg/L (日間平均 60mg/L) |
| 燐含有量 | 16mg/L (日間平均 8mg/L) |
【備考】
- 「日間平均」による許容限度は、1日の排出水の平均的な汚染状態について定めたものである。
- この表に掲げる排水基準は、1日当たりの平均的な排出水の量が50立方メートル以上である工場又は事業場に係る排出水について適用する。
- 水素イオン濃度及び溶解性鉄含有量についての排水基準は、硫黄鉱業(硫黄と共存する硫化鉄鉱を掘採する鉱業を含む。)に属する工場又は事業場に係る排出水については適用しない。
- 水素イオン濃度、銅含有量、亜鉛含有量、溶解性鉄含有量、溶解性マンガン含有量及びクロム含有量についての排水基準は、水質汚濁防止法施行令及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行の際現にゆう出している温泉を利用する旅館業に属する事業場に係る排出水については、当分の間、適用しない。
- 生物化学的酸素要求量についての排水基準は、海域及び湖沼以外の公共用水域に排出される排出水に限って適用し、化学的酸素要求量についての排水基準は、海域及び湖沼に排出される排出水に限って適用する。
- 窒素含有量についての排水基準は、窒素が湖沼植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある湖沼として環境大臣が定める湖沼、海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域(湖沼であって水の塩素イオン含有量が1リットルにつき9,000ミリグラムを超えるものを含む。以下同じ。)として環境大臣が定める海域及びこれらに流入する公共用水域に排出される排出水に限って適用する。
- 燐(りん)含有量についての排水基準は、燐(りん)が湖沼植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある湖沼として環境大臣が定める湖沼、海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域として環境大臣が定める海域及びこれらに流入する公共用水域に排出される排出水に限って適用する。
※「環境大臣が定める海域」=平5環告67(窒素含有量又は燐含有量についての排水基準に係る海域)
排水・工場排水の分析に関するよくあるご質問
排水・工場排水の分析について、よくあるご質問にお答えします。
工場・事業場の環境管理ご担当者様、排水処理設備の管理者様からのご質問をまとめました。
Q工場や事業場の排水は、どのくらいの頻度で分析が必要ですか?
A水質汚濁防止法の特定施設を設置する工場・事業場(特定事業場)から、河川・湖沼・海域などの公共用水域へ排水している場合は、
排出水の汚染状態を測定し、その結果を記録・保存することが義務付けられています(水質汚濁防止法第14条)。
測定が必要なのは、排水基準に定められた項目のうち、特定施設の届出書に排出水の汚染状態として記載した項目です。これらの項目を、少なくとも年1回は測定することになります。その他の項目については、必要に応じて測定します。
測定結果は水質測定記録表に記録し、関連資料とともに3年間保存します。
なお、自治体の条例により、より多い測定回数が定められている場合があります。また、一部の温泉利用旅館業には測定頻度の特例があります。
Q下水道に排水している場合も、分析は必要ですか?
Aはい。公共下水道へ排水する場合は、公共用水域へ直接排水する場合に適用される水質汚濁防止法の排水基準とは異なり、下水道法や各自治体の下水道条例などに基づく排除基準が適用されます。
下水道へ継続して下水を排除する特定施設の設置者や、一定の水質の下水を継続して排除する者のうち政令で定められた者には、下水道法第12条の12に基づき、下水の水質を測定し、その記録を5年間保存する義務があります。
法令上の測定頻度は測定項目によって異なり、原則として、温度・pHは1日1回以上、BODは14日を超えない期間ごとに1回以上、ダイオキシン類は1年を超えない期間ごとに1回以上、その他の項目は7日を超えない期間ごとに1回以上とされています。
ただし、ダイオキシン類を除き、下水道管理者が排水量や水質、処理場の能力などを考慮して別の測定回数を定めることがあります。
実際に必要な測定項目・頻度については、管轄する下水道管理者にご確認ください。
Q一律排水基準のほかに、守らなければならない基準はありますか?
A都道府県は、水質汚濁防止法に基づき、国の一律排水基準で定められている物質・項目について、より厳しい許容限度を定める「上乗せ排水基準」を条例で設定することができます。
また、地方公共団体が独自の条例により、国の一律排水基準では規制対象となっていない物質・項目や事業場を対象とする規制(いわゆる「横出し規制」)を設けている場合があります。
さらに、公害防止協定などによって、法令より厳しい管理値等が定められている場合もあります。
実際に適用される基準は、事業場の所在地・業種・排水量・放流先によって異なりますので、管轄の自治体にご確認ください。
Q1日の排水量が少ない(50m³未満)事業場でも、排水基準は適用されますか?
A有害物質(健康項目)の排水基準は、原則として、排水量にかかわらず特定事業場に適用されます。
一方、生活環境項目(pH、BOD、COD、SSなど)の一律排水基準は、1日当たりの平均的な排出水の量が50m³以上の特定事業場に適用されます。
ただし、都道府県の条例(上乗せ基準)により、50m³未満の事業場にも生活環境項目の基準が適用されている場合があります。
なお、生活環境項目の中でも、BODとCODは放流先によって適用される項目が異なり、窒素・りんについても適用される水域が定められています。
Qどの項目を分析すればよいですか?
A届け出ている特定施設の種類、使用している原材料や薬品、排水の放流先(公共用水域か下水道か)、条例や協定の内容などによって、必要な項目は異なります。
管轄の自治体から測定項目を指定されている場合は、その項目を分析してください。
項目の選び方が分からない場合は、業種や排水の状況をお知らせいただければ、分析項目の選定についてご相談を承ります。
Q分析結果の計量証明書は発行されますか?
Aはい。総合環境分析は、濃度に係る計量証明事業の登録事業者です。排水分析の結果は、計量証明書として発行いたします。
自治体への報告資料などにご利用いただけます。
なお、水質汚濁防止法に基づく測定では、測定結果を所定の水質測定記録表に記録する必要があります。一定の事項が記載された計量証明書がある場合には、水質測定記録表の一部の記載を省略することができますが、水質測定記録表そのものの作成・保存が不要になるわけではありません。
水質測定記録表は、計量証明書などの関連資料とともに3年間保存します。
Q採水もお願いできますか? 自分で採水した排水を送ることはできますか?
Aはい、どちらも承ります。神奈川県、東京都、群馬県を中心とした関東及びその隣接県では、現地での採水からお引き受けしています。
また、宅配便でお送りいただいた検体も、全国から受け付けています。
分析項目によって、採水容器や保存方法が異なります。
また、水質汚濁防止法に基づく排出水の測定では、排出水の汚染状態が最も悪いと推定される時期・時刻に試料を採取することとされています。
下水道法に基づく測定についても採水時刻や採水場所などの規定がありますので、測定目的に応じた採水が必要です。
採水容器や採水方法については、お気軽にお問い合わせください。
Q排水基準を超えてしまった場合は、どうすればよいですか?
A水質汚濁防止法では、排水基準に適合しない排出水を排出することが禁止されており、違反した場合は罰則の対象となります。
基準の超過が分かった場合は、排水処理設備の点検や原因の調査を行い、改善後に再度分析して、基準に適合していることを確認してください。
対応については、管轄の自治体にもご相談ください。
また、水質汚濁防止法第14条の2の対象となる事業場(特定事業場、指定事業場、貯油事業場等)では、事故により有害物質、指定物質または油を含む水などが公共用水域へ排出され、または地下に浸透し、人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある場合などには、直ちに応急の措置を講じるとともに、事故の状況や講じた措置の概要を速やかに都道府県知事等へ届け出る必要があります。
原因調査のための至急の分析も、ご相談いただければ対応いたします。
QPFOS・PFOAの排水分析もできますか?
APFOS・PFOAには、現在のところ水質汚濁防止法の一律排水基準は定められていません。
一方で、令和5年2月1日から水質汚濁防止法の「指定物質」に追加され、事故時の措置の対象となっています。
また、公共用水域と地下水については、PFOSとPFOAの合計で0.00005mg/L(50ng/L)の指針値が設けられています。
※この50ng/Lは公共用水域・地下水の環境中の指針値であり、工場排水に適用される一律排水基準ではありません。
当社では、LC-MS/MSを用いたPFAS分析に対応しています。排水は試料の性状によって対応が異なる場合がありますので、事前にご相談ください。
詳しくは「PFASの水質検査・水質分析」のページをご覧ください。
Q納期と費用を教えてください。
A分析項目・検体数・採水の有無(現地での採水か、検体の送付か)によって異なります。
納期については「納期について」のページをご覧ください。お急ぎの場合は、納期の短縮についてご相談ください。
費用は、見積もり依頼フォームから、お気軽にお問い合わせください。
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