神奈川県中小企業家同友会の会報誌に掲載されました!
神奈川県中小企業家同友会の会報誌に当社の記事が掲載されました!
38年の歴史をしっかりと引き継ぎ、
環境分析と水質検査で社会貢献安全な環境を守る、誇りが持てる仕事
「中国やインドでは、公害が原因で病気になり毎年100万人以上が亡くなっています。日本も近代化以降、同様に公害がありました。安全な環境を守るために、社会性の高い環境分析や水質検査の仕事は欠かせません。」と、昨年事業承継したばかりの石渡壮社長は語る。
(株)総合環境分析は、様々な水や土、産業廃棄物や排ガス等の中にどのような物質がどれくらいの濃度で含まれているかを調べ、報告書としてお客様に提供する「環境計量証明事業」をメインに行っている。その中でも、「水質分析」が売上の7-8割を占める。工場・下水などの排水分析や、河川や湖沼、地下水などの環境調査に関わる水質分析も行っている。
飲料水(水道水)検査は同社がもっとも得意とする分野で、神奈川県内ではナンバーワンを誇る。中規模以下の自治体は自前での水質検査が難しく、同社のような厚生労働大臣登録の検査機関に委託しており、同社は秦野市、座間市、山北町など1都6県のエリアから受注している。
もう1つの売上の柱は「土壌・地質・産廃等の分析」だ。現在の顧客数は約700あり、民間と行政の割合は5.5:4.5。昔は9:1と圧倒的に民間が多かったが、年々行政からの受注が増えてきている。夏場の検査数は、多い日で200検体以上。冬場でも菌の検査だけで1日あたり平均100検体、そのほかの検査が入ると300検体前後を受け入れている。
現在、横浜本社と町田技術センター、北関東支社(群馬)の3拠点があり、いずれにもラボ(分析室)を構えている。社員は62名、パート、アルバイトや役員までを含めると93名になる。20~40代が主の平均年齢約40歳の会社だ。
近年はHPからの引き合いも多く、北海道や九州の会社から受注することもある。今後はHPを強化して、更なる全国展開を目指す考えだ。取締役に就任、事業承継への決意
2代目である石渡社長は、20歳の時アルバイトとして総合環境分析に入社。当時の社内制度の下、1年後に準社員、3年目に正社員となる。31歳で、一社員から実質ナンバー2である取締役常務に就任し、2013年秋、同友会に入会した。
当時は31期目。売上約5億9600万円に対し、期末の借入れ残額が6億400万円だった。正直、事業承継に不安もあった。しかし、同友会の青年部で何年もかけて学び、自社に自信を持ち、父である先代から会社を継ごうと腹を決めた。
同社は、30年前から月次決算をはじめ社内の数字を社員に公表している。ガラス張りにしている以上、財務体質や会社の体力も強化しないと社員が安心して永く働けない。そこで、全拠点の若手10数名と社長で委員会をつくり、経費削減について取り組み、社長の考え方や同友会の学びを共有し、経営指針について学んでいる。
元々営業畑だった石渡社長は「戦略がない安売りでは利益が出ない。ある程度良い条件で受注し、お客様の要求と社内の事情を営業が上手く調整できれば、結果的に良い仕事となり、また依頼される。このサイクルこそが利益を出せる営業だ。」と、自身が常務になってから営業に伝えている。その結果、仕事量が減少した年度においても、単価が上がったことにより利益がでるようになっている。若い力を活かした明るい未来に向けて
新卒社員が26年ぶりに0になってしまった2020年の春、若手女性社員からの提案で社員主導の「採用プロジェクトチーム」が立ち上がった。若手中心に全拠点から合計10名程度で構成し、出身大学の教授たちへの売り込みをスタートした。その効果もあり、2019年は10名程度だったインターンシップ受け入れ数は、2020年末の時点で20名。インターン後、更に興味があれば、アルバイトができる環境も用意している。
「当社は技術の会社。蓄積してきたものをベテランから若手へ承継していくことはとても大事なことです。社長の交代は、いわばスタート。経営指針の10年ビジョンで掲げている『会社の売上げ12億、利益1億』に向かって、雇用を守り育て、社員が安心して永く働ける、人生を楽しめるような会社に成長させたいと思っています。」と、石渡社長は力強く語った。